この論文の目的は,1992 年と 2007 年に同一質問票で調査されたデータを用いて,労働組合の経済効果と未組織労働者の態度の変化を分析することにある.分析の結果,以下のような変化が浮き彫りとなった.
1に,労働組合の賃金効果は 1992 年には観察されなかったのに対して,2007年には男性に関して賃金プレミアムがみられるようになった.ただし,女性に関しては観察されない.第2に,労働組合の発言効果に関しても,1992 年にはみられなかったものが,2007 年には男性の転職希望(および部分的に仕事不満足度)を引き下げるようになった.ただし,女性に関しては,そうした発言効果はみられない.第3に,男性の未組織労働者の間で組合の組織化支持が高まっている.ただし,女性の未組織労働者の組織化支持の上昇は男性に比べてわずかである.