2019-01-19

泥棒マサシ

 小学5年生の時、同級生に手癖の悪いマサシというやつがいた。マサシは俺の家に来る度にゲームソフトだったり、本だったりを盗んだ。

後日、買ったんだと言って俺から盗んだものを自慢気に見せてきて俺の反応を楽しんでいた。それからは盗まれたのがわかるように水生のペンゲームソフトなんかに名前を書くようになった。これで盗まれても俺のものだって言える。ある日、俺が学校から家に帰ったら先回りしていて、マサシがベッドの中に隠れていたことがあった。俺は怒って家から出ていくように言った。中々出て行かなかったので力技で追い出した。マサシが帰ったあと、家の中のものが盗まれていないか確認作業をはじめ、何も盗まれていなかったことに安堵した。

 夕ご飯を食べたあと、飼っていたハムスターにエサをやろうとしたら気づいた。マサシのやつハムスターを盗みやがった。生き物には名前が書けない。どうしようもない怒りが込み上げてきた。数日後マサシはペットを飼いはじめたと言って俺のハムスターを俺に見せてきた。「可愛いだろ?このハムスター」マサシはニヤニヤしながら言った。ハムスターは何事もなかったように回し車で走っていた。自分の無力さを知った。

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