私個人が怖くなかったし、実際に語ってみてもやはり怖くはないから
これは不思議な話なんだ
中学生の頃、学校から家に帰って玄関を開けると、管楽器の音がした
それは、私が玄関に入った途端、まるで、楽器を吹いていることを知られたくないような様子で消えた
私には、2つ上の兄がいたが、兄は当時から友人にギターだのアンプだの借りては母に注意されていた
だから私は、また兄が友人から楽器を借りて、それを知られたくなくて急いで吹くのをやめたのだと思った
案の定、兄の部屋へ逃げるように身を滑り込ませる人影を見た
私は、隠したいなら好きにさせようと、深追いはしないでその時は見て見ぬふりをした
母にはその日の夜に、兄がまた友人から楽器を借りたようだが、私達には知られたくないようだからそっとしておいてあげてくれと言った
よく考えたら、玄関を開けてから聞いたその音を、玄関の外では私は聞いていなかった
話は少し遡るが
小さい頃、うちは両親が離婚して、私は母に引き取られた
何年も会っていなかったが、私が中学生の時、父方の祖母から父が死んだと連絡があって葬式に呼ばれていた
遺品整理の際、父が使っていたホルンを、私が譲り受ける約束になっていた
私一人では取りに行けず、しばらく祖父母に預かってもらっていたのだが
あなたの知らない世界
怖いというより、いいはなし。
やさしい話だな
兄が彼女連れ込んだのかと思った
あるある。 管楽器のような声で鳴く彼女だったんだろうなぁ。