娘は11級に難なく合格したので、ご褒美にアイスを買ってやった。
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帰りの車の中から、小学生高学年くらいの男の子が嵐の中傘もささず、レインコートも着ずにずぶ濡れで歩いてるのが見えた。
「あの子どうしたんだろ、濡れてかわいそうだね」
「傘はないのかな」
「うちのママはすごい」
とボソリと言った。
「どうして?」
と聞くと、
「だって、ママは朝に天気予報を聞いて、今日雨が降るかどうかいつも気にしてる。」
「雨の時は、傘を持ってきなさいとわたしに言うんだよ。」
「きっと雨に濡れるとわたしが風邪を引くから、そうしてるんだと思う。ママはすごい。」
とそんな感じの事を言った。
俺は感動してるのを隠しつつ、
「そうなんだよ、ママはすごい。塩とか砂糖とか醤油とか、切れたことが一度もないんだ。いつも予備がある。すごいよね。」
と返した。
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と言うと、
「そうだよね。ママもお昼寝したいよねぇ」
と娘は言った。