大音量と歌手の圧倒的パフォーマンス、声量、会場全体の熱気、高揚感。胸の奥がざわめいた。何十年ぶりに高まった鼓動で心がざわめいた。ここ数十年の自分はとても暗い。それは仕事も人間関係も何もかもがうまくいっていない状況だから。だからどんどん性格が暗くなっていった。今の自分は昔の自分とは正反対だ。ライブでも周りの人の盛り上がりと自分は正反対。自分は心の中では楽しんでいるのだけど、表情は軽く微笑んでいるだけで体を動かすでもなく手を叩くでもなく、ただ静かに聴き入っていた。そうじゃない、これじゃない。俺がやりたいのは周りのみんなと同じように踊って手を叩いて声を上げて一体になって楽しむことだ。もっと心からの感情を弾けさせて全力で楽しむことだ。でも今日はそれが出来なかった。楽しかったけどできなかった。でも今までの病的な性格の落ち込みに一筋の光明が射したように思う。これからは今日のような激しいライブにもっと行こうと思う。心が打ち震えるようなエンターテイメントで俺の心の病気は治るかもしれない。そして自分はパフォーマンスをする立場になりたい。みんなに見てもらいたい、楽しませたい、盛り上げたい。きっとそれが本当の気持ち。