日本人の半数近くを占める都会人は、自動車社会が日本社会と一蓮托生であることを知らない。よって、鉄道の信頼性の低下や過度な混雑などに絡んだイメージダウンをごく単純に捉え、「鉄道社会の腐敗」「鉄道は迷惑施設」とみなす。結果、日本の人たちは、鉄道に対する嫌悪を増幅させ、バスやタクシーなどを含めた車社会への帰属心を強める。まさにこれこそ、日本社会が望むところである。車社会を快く主なわない人間が、ヤンキーや非行組織を結社して、車社会に対するイメージダウンを喚起したのと全く同じ構造である。鉄道のイメージダウンは、日本社会の計算に過ぎないのである。だから、日本社会はいつまでも現状から目をそむけ続けるのである。