日曜の朝、『題名のない音楽会』のあとでテレビをつけっぱなしにしていると、『住まいのダイエット』なるお片付け番組が始まる。
前番組の『ペットの王国』ほどではないが、私はこの番組が好きだ。でも、夫は耐えられないらしい。
「捨てたら家が空くのは当たり前じゃないか、なんで番組が成り立つのかわからん」と言いだした。
「わたし、わかるよ」と反論した。「捨てるって、思ってるよりずっと難しいことなんだよ。うちだって、捨てられない夫婦じゃん。ふつうの家では捨てる前にもっとためらうので、あんなにざっくりと捨てることはありえないけれど、しがらみも何もかも無視して捨てられたら、わが家もどんなにかすっきりするだろうなあ、って妄想するんだよ」
「なんだそれは。そんなにモノが少ないのが良いなら、俺のスペースはともかく、そっちのスペースくらい毎日整理すればいいじゃないか」
いや、この本は商売道具なんですけど(お片付け番組では、本はだいたい未練なく捨ててますが)。
そもそも、毎日整理できる人にはお片付け番組なんか要りませんって。
捨てられたらなあ、と妄想する妻。その妄想自体を不快に思う夫。ささいな違いではあるけれど、溝は深い。
そして、今日も互いのスペースにモノが積み上がっていく。