とある離島に向けて離陸を待つLCC。その離島にはLCCしか便がない。
車椅子の老人が搭乗口で係員に制止される。「車椅子の方は搭乗できません」。
車椅子を押す(おそらく)彼の妻と係員が押し問答。
「あなたたち、去年も事前に連絡したら勝手にキャンセル扱いにしたじゃないの」
老人は黙ったまま。
彼女は金切り声で叫ぶ。彼女の息子らしき客も降りてきた。母にはうんざり、といった様子でなだめる。
とうとう老人は重い口を開く。
「申し訳ない。私はもう余命がない。どうしても最期に、友人たちが眠る島へ行きたいのです」
金切り声をあげた女性は顔を真っ赤にして立ち尽くす。
「死にそうな人間が飛行機に乗るな」 だろ。