2017-03-02

そうしてネット民感受性は海に溺れた

外の世界は刺激でいっぱいなはずだった

人間はもちろんのこと植物動物共生した都市群という舞台を前に、僕らの感受性インターネットの巨躯の下、掻き消されてしまった

スマートフォン上に覆いかぶさる広告らは欲求を満たさせようと僕らをしつこく誘い、満たされた僕らの関心はもはや外界へと向けられることがなく、更なる飢えをしのごうとそれへとのめり込んでいく

もはや美しさへの関心はない、巨大資本の陰りで暗澹に満ちた視界はポルノを映すのみだ

仕方ない、美しさに刺激なんてないのだから、何かが心に浸透していく感覚も、この世界で得られるものに比べたらちっぽけなもの

でもそれでいいのだろうか、僕らはここにいないのに

ほんの数十センチ下に視界をズラせば、そこには感覚が詰まった足と、リアルな地面が、ここに溶け込んだ僕らの自我を呼び覚ます

灰の画面は暗く、世界は色に染まり始める

192kbpsの音声は、鳥と風と雨音に置き換わり

整えられた16bitの幻影は、等身大世界へと

そうだ、増田世界は今ここから始まるんだ

もういいんだよ、あっさりとした気持ちスマホなんて捨てて、ああ今日も天気が良いななんて虚空に向かって呟ければ、それでいいはずなんだ

世界は広すぎて寂しいし怖い、それに僕らは何も持ってない、だから僕らはここにいるんじゃないか

でも僕は、そこにある世界を見ていたいと思うし、増田たちにも世界に目を向けて欲しいと思う

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