勉強もできないわけじゃない。偏屈なわけでもない。誰かをいじめてもいない。話もある程度できる。友達も結構いる。高校生に求められているものはクリアしているつもりだ。
だから、僕はここ1年くらい怒られなかった。それが普通だった。
努力すれば勉強は出来た。しかもそんなに努力しなくても出来た。授業を聴いていればギリギリ全部理解できたからだ。
車は違った。一度は失敗しないと出来なかった。でも出来たのだ。前回までは。
今日はバックと切り返しをやった。難しい。タイミングが全くわからなかった。先生に叱責された。
「なんでできないんだ」
「はい」
なんで出来ないのか、それは知ってる。タイミングが合ってないし、パニックに陥っていたからだ。でも、上手く言葉にできなかった。
50分、成果を上げられずに終わった。先生は「バックは確かに難しいよね、まあまだ次がある、始めたてで出来る人はほぼいない」
その時ふと思った。僕はずっと「出来る側」の人だったのだ。挫折だ。これが挫折か。カラッカラの口で、ありがとうございましたと言った。
気が付くと、僕は泣きながら自転車を漕いでいた。P-modelの「Cyborg」を歌いながら。
”あきらめにいこう”