世の中の人間は他者と対等な人間関係を築くことができ、恋人がいたり友人がいたりする。
どうやら恋人がいたことがあるもしくは、友人がいるというのは見聞する限り人として常識的なことのようだ。
彼らは、息するように他者と会話しあまつさえ楽しさすら覚えている。
一方の私は会話により苦痛を受ける。会話の多い日は定時にあがれても家のベッドへ直行し起きる気力がないほどぐったりする。私にとって繁忙期にいくつもの期日に追われ深夜まで残業するほうがだいぶ楽だ。
彼らは私のことをコミュ障だと軽い口調で言う。120%がんばって擬態しようとしてこの様、素の私はもはや人間に満たないなにかなのか。発達障害は白黒でなく濃淡だと言われるが、仕事が何年も続けられている時点で私は大分色が薄いほうなのではないかと思われる。
しかしある統計では世の中には沢山いるはずのコミュ障なる人はまるで見当たらない。それはどこにいるのか。もしかしたら私よりもうまく擬態できているだけなのか。