2016-11-19

押しボタン横断歩道

私は押しボタン横断歩道が好きだ。

私がこの道を通るためだけに、車は動きを止める。

どんなに急いでいる車も、私のことが大っ嫌いなあいつも、私のために動きを止める。

誰かの動きを止めることはすなわち誰かの時間を消費することにつながる。

少し前に、一人の女子高生のために存在する駅の話が話題になった。

あれも魅力的に感じたけれど、押しボタン横断歩道とは少し異なる。

電車は時刻が決まっている。彼女は決まった時間しか電車を止めることができない。

さら電車乗客が一人もいなくても動き続ける。彼女が乗らなくても駅に止まり、また動き出す。

私の押したボタンによって止まる車たちは、完全に私の都合で動いている。

わたしが ここを 通りたい」

ただそれだけの願望のために何十人もの人に影響を与える。

しかしたら私の押したボタンのせいで会社遅刻し、大事取引が失敗し、株価に影響を与えるかもしれない。

しかしたら私の押したボタンのせいで病院に到着するのが遅れ、悲しくも命を失う人がいるかもしれない。

そういう意味では、ボタンを押すときの私の指先には世界の命運がかかっている。

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