しかし、半端でなく高いところから落ちたネコはどうなるだろう?
1984年の5ヶ月間に、ニューヨーク市の高層マンションからネコが落ちた事故のうち、何階から落ちたかという獣医師の記録があるのは129匹である(2階~32階)。
うち、死亡は8匹だったが、驚くべきことに、階が高いほど生存率も高いという事実が判明した。
7階以上から落ちたネコ22匹のうち死んだのは1匹だけ。9階以上から落ちた13匹はすべて生き延び、しかも骨折は1匹だけだった。
獣医師の説明によると、ネコは、落ちると「終端速度」(それ以上速くならない最高落下速度)にすみやかに達する。
それは時速60マイルで、人間の大人の終端速度の半分。この終端速度に達するまでは、ネコは脚を突っ張って抵抗するので、着地したとき怪我をしやすい。
しかし終端速度に達した後は、ネコはリラックスし、脚をムササビのように広げるので、空気抵抗が高まり、着地時に衝撃が均等に分配されるのである。
さて、統計数字そのものに間違いはなかったのだが、後に、この統計は根本的な誤解にもとづくものであることがわかった。