2016-06-10

ホームレス

大都会オフィス街に独りのホームレスが居ました。

そこは日本有数の大都市で、メインストリートの整備された街並みには、広めの歩道彫刻が並び、ところどころにベンチもあります

そのホームレスはいつもラジオを大きな音量で鳴らしています

昼間は空き缶を集めているようです。

夏は夜になるとベンチに横になっているようですが、冬の夜は歩き回っているようです。

いつも独りで黙してる姿しか見たことがありません。

いつみても、彼には周りの世界が視界に入っていないかのように見えました。

まるで世界に彼しか存在していないかのようでした。

ある夏の晩に、ベンチで横になっていた彼に酔っ払い罵声を浴びせていました。

別に彼が何かをしたわけではありません。

酔っ払い一方的罵声を浴びせているだけです。

それでも、彼はいものとおり、世界自分しか存在していないかのごとく、微動だにせずにベンチに横になっていました。

酔っ払いは連れになだめられて去って行きました。

彼は相変わらず微動だにせずにベンチに横になっていました。

ただ、手が少し動いてお尻を掻いているようでした。

彼はこの生活を何年続けているのだろうか?

これから何年この生活を続けていくのだろうか?

地下鉄の駅へ歩きながらそう想っていました。


そのとき私が感じたのは、決して蔑んだ感情ではなく、畏怖の念に近いものでした。

なぜそう感じたのかは自分でもわからないけれど。。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん