昔は昔で今と同じように逃げたい辛いやめたい死にたいという苦しみも確かにあったはず。
しかし今昔を思い出してみるとずっと幸福な環境で幸せの絶頂期だったような気さえしてくる。
嫌な思い出は思い出さずに楽しかった記憶だけを再現しようとする。
これはどうしたことだろうか?
もちろん最初の刺激というのは強烈な印象を持つものだがそれにしたって苦しいことも同じはずである。
苦しみだけが新しいものとして現在まで続いているということだろうか?
意図的に脳が過去の優しい記憶を想起させることで精神安定剤のような役割をさせているのだろうか?
それとも幸福の絶対量として過去の初体験たちが今後の追体験を上回ることがないとしたら
自分は死ぬまでにその幸福の限界値を超えることなく生きて、死ぬのだろうか?