先ほどハチワンダイバーの最終巻を読み終わった。それから数時間の間、30数年生きてきて片手で数えるほどしか将棋を打ったことのない私が、黙々と詰将棋を解いていた。
このとにかくド迫力の将棋漫画は、迫力と勢いはあるが正直何がしたいかさっぱりわからない。特にボスの谷生というキャラクター、こいつがわけがわからない。鬼将会という将棋指しの団体を圧倒的な棋力とカリスマで率いており、武力まで持ってその力で世界中に数々の将棋対戦を配信する。将棋で世界を征服したいのか?ならばなぜ単純に強い将棋指しを求めているのか?よくわからないのだが、しかしそのカリスマ性にすべての疑問は飲み込まれてしまうかのように見えた。
だが、違った。
ラストシーン、主人公の菅田と命を懸けた壮絶な将棋を指し、その一局で世界中を魅了した後、彼は菅田に遺言を残した。
「これで世界は将棋を手に入れた。私が言ってることがわからないなら、お前が確かめてこい」
そしてエンディング、将棋が世界中に普及している姿が描かれた。これが、谷生がやりたかったことなのだ。
エンディングを読み終え、ネットで詰将棋の問題を検索し、黙々と解いた後気づいた。これが、谷生がやりたかったことなのだ。
私は将棋を手に入れた。
そう言うとクサ過ぎだし、将棋の先人たちに失礼すぎる。でも言いたい。将棋と等しかった一人の男の世界が、紙とインクの壁すら越えて、私の世界を侵食したのだ。
まったく悲しくなどなく、とてつもなく熱い感動がここにある。すげえよ、ハチワンダイバー。