思い出そうとしてるだけ。何のために始めたんだったか。
確か、気に入らないことがあったのと、こんな自分でも誰かを救えるんじゃないか、世界を少しでも楽しくできるんじゃないかって思ったのがきっかけだったような気がする。
正義の味方を気取ってたわけじゃない、自己満足だっていうのも最初から知ってたから。
やってるうちにだんだん楽しくなってきて、規模も大きくなってきて、やりたいことも増えてって。
やりたいことを実現するには力が必要で、その場合の力っていうのは金だったりブランドだったり。
力をつけるためにはやりたくないこともやったし、見たくないものも見て言いたくないことも言った。
切り捨てなきゃいけない人やものや矜持に背を向けて、それでも大義があればいいって信じてた。
目的のために最善を尽くしてきたつもりだったけど、よくある話、手段が目的に近付いてきて。
気付いたら、そんな自分が傷つけてしまったものが周りにあふれてた。
崇高な目的のためには多少の犠牲はやむなしって考える頭でっかちより、こぼれおちるものに寄り添う人間でありたかった。
いつの間にか、映画やマンガの中でそんな主人公に正面突破されるチンケな悪役に成り下がってた。