大衆向けのファッション販売員で、デパートの中にあるから接客以外にも案内をする事がある。
この間、客が子供のジャージを探していると聞いてきた。30ちょいのタバコの臭いがする小太りな人だった。自分は担当が違うので、担当者を呼ぶのでお待ちくださいと言うと、そんなものせんでええ、見ればわかるだろと売り場を進み出した。
売り場の通路は狭く、案内しようにもその人の後ろから前に行く事も出来ない。
困ったなこりゃと考えていると、客が、はよ担当呼ばんかいとあしらわれた。
担当者にあるかと尋ねると、こっちにはない。あっちだ。と返されたものだから、客にその事を伝えた。当然案内しなければならない。自分は売り場が何処なのかがわからないので、地図を取り出そうとすると、遂に客がブチ切れた。
何処に何があるのかすらわからんのか!お前店員やろ!ふざけるな!
この時小さくとも怒る要因を自分が持ってたなと自覚出来たが、何故私は怒られなくてはならないのだろうと、目を開き、驚いたまま固まっていた。
なあ!わからんのか!と何度かまた繰り返され、ひたすらに謝るしかなかった。
そしてその人が怒った事に恐怖し、軽く目が熱くなったのを覚えている。
私はなんとかその人を売り場まで案内し、役目を終えた。
その日は人が少なく、棚をノンビリ掃除していると、横から、おい、と声が掛かった。
杖を持った肥えたじいさんだった。
はい?と返事すると、店員か?とぶっきらぼうに聞いてきた。そうですと応えると、小銭入れと言う。私は確認の為にもう一度聞き、またその人は小銭入れと言った。
私は始めに小銭入れを探しているのか尋ねると、そこまで言わんとわからんのか馬鹿とぶっきらぼうに言ってきた。
これもまた担当が違うので、担当者に尋ねないといけない。すぐそばに担当者が居たので、小銭入れを探しているそうなので頼みますとバトンを渡した。
すると客はお前店員じゃねーのか。なんなんだ馬鹿。と言い続ける。担当者が案内しようとしているのを遮って、言い続ける。
少しするともういいやといった感じで案内されて行った。
なんなんだ一体…。
なんなんだ一体…。 バイト君か。 普通の出来事が初めてだったようですね。 そこで上手く対応できないと直ぐクビだから。 ご苦労さん。