友達と話をしながら廊下を歩いてても、
「あいつ笑ってるぜ」なんて、名前の知らない男子が私を見て笑っていた。
私のことを知らないはずの他校の生徒が、私のことを見ていた。
クラスでも授業中に色々言われて、頬の緊張がとけない日はなかった。
チェーンメールがまわってたんだよ、って人づてに聞いた。
父は泣いていた。
私より頭の良い弟に、県外の有名私立大学に通わせたかったからだ。
それでも私は、無理矢理地元を離れた。
このまま地元に居続けたら、死んでいるのと変わらないと思ったからだ。
遠く離れたこの場所までは、チェーンメールもまわっていなかった。
誰も私に注目していなかった。
私の生活は到底「幸せ」とはほど遠いんだろう。
でも、私は幸せだった。
誰からも見られないこの生活が。
授業中に気軽に居眠りできるこの生活が。
必死に頬杖をついて、顔を隠さなくていいこの生活が。
ごめんね。