2007-04-22

[]なぜ作画の評価が割れるのか?

アニメ映像面からみるとき、評価軸は二つある。

ひとつは、絵の美麗さ。

ひとつは、動きのよさ。

「絵の美麗さ」とは、いうまでもなく一枚一枚の絵の美しさ。本来は、レイアウトなども含めて絵としての完成度が測られるべきだが、最近では、キャラクターが可愛く描けているかどうかに重きがおかれる傾向がある。

しかしながら、アニメは構造上、多くの人間によって描かれるため、描き手の能力や個性によって絵柄がブレることになる。そのため、作画監督という役職を置くことで、1話単位での絵柄の(できるかぎりの)統一を図っているのが実態。

場合によっては、さらに“総作画監督”という全話にわたって絵柄を管理する役職を設けることもある。

「動きのよさ」とは、動画=動く絵としての心地よさ。細かい表情や、仕草、あるいは派手なアクションなど。この動かし方やタイミングアニメーターとしての技術力が最も現れる部分であり、個性がはっきりと出ることになる。“動き”は、キャラ演技や画面演出の幅の広さにつながる重要ポイントとなる。

かつて、80年代後半のアニメーターブームにおいては、様々な作品中でアニメーターが見せる個性的な“動き”にファンが注目し、スターアニメーターと呼ばれるアニメーターが何人も誕生した。

その時代に詳しくない人にも解りやすい例としては、金田伊功の「金田エフェクト」(オーラや稲光、またはその残像などが、画面内で激しく動き回る効果)や、板野一郎の「板野サーカス」(ミサイル戦闘機が、縦横無尽に追いかけっこをするように動く、メカアニメの定番表現。納豆ミサイルとも)がある。

ちなみに、上記のような“動き”の表現は、アニメーター達の間で模倣、継承され、さらに新しい表現を生んできた。スタジオ内の師弟関係によって、動きだけでなく、絵柄も継承されることがあった。アニメーター単位ではなく、スタジオ単位担当作品を認識するケースも見られる。

作画監督というシステムも、過去においては縛りの厳しいものではなく、作画監督ごとの個性が大きくでている作品も少なくない。『美少女戦士セーラームーン』はキャラ絵の可愛さに重きを置いているイメージがあるが、実際には作画監督の個性が強くでていた作品の代表例といえる。

アニメーターの個性を楽しむ、という面では、過去には『機甲戦記ドラグナー』において大張正巳による(設定とは異なった)有機的なラインで描かれるメカをそのまま登場させるオープニング(特別に本編に登場した回もある)や、『天空戦記シュラト』での菊池通隆による作画監督回(本来のキャラデザは奥田万つ里だが、当時『超音戦士ボーグマン』で人気が集中した菊池が特別に起用された)など、作画の個性がファンサービスとされたこともあった。

最近でも、『創聖のアクエリオン』におけるうつのみや理、『ギガンティック・フォーミュラ』での薮野浩二(本編)と門之園恵美(原案・ED)といったアニメーターの個性を全面に出した演出、遊びが見られるが、若いアニメファンから「作画崩壊」と揶揄され、拒絶されるケースが多くおもわれる。『天元突破グレンラガン』#4も、キャラクターの感情をさりげない動きで巧みに表現する小林治(『BECK監督)の個性が全面に出ていることで、過去3話と比較するファンに拒絶されている。

ちなみに、「作画崩壊」というのは本来、制作工程の管理ミスなどにより「動かない」「絵がヘタ」「色がついてない」等の“未完成”状態のアニメが放映、上映されてしまうことを指していた。1989年の『天空戦記シュラト』アスラ神軍編に始まり、1998年ヤシガニ」の語源となった『ロスト・ユニバース』、1999年未完成のまま劇場公開され波紋を呼んだ『ガンドレス』と、過去数度にわたり「作画崩壊」は発生している。アニメバブルによる製作本数の増加、海外発注の増加によるクオリティコントロールの困難など、様々な理由があるが、最近では海外スタジオとの作業ノウハウも蓄積されているので、トラブルになるケースは減少したが、国内の動画スタッフ空洞化という新たな問題も抱えている。

上記のような理由から、アニメーターブームを経験している様なファン(30代??)はアニメーターの個性に対して寛容、あるいは好意的な態度をとることが多い。

しかしながら、現在の「萌えブーム」の中核をなすギャルゲーラノベ世代の若いアニメファンにとって、アニメ映像クオリティの基準は“絵の美麗さ”“キャラクター一貫性”にあることが多い。これは、ギャルゲーライトノベルアニメーションとは異なり、原画家イラストレーターといった、比較的少人数のスタッフによって描かれることから、絵柄のブレが発生しないメディアであるということも、大きな要因であると思われる。

また、メディアミックスを通じて、複数のメディアで横断的に作品、キャラクターを消費することが普通になっているため、キャラクター一貫性を維持するということは、ファン活動そのものを維持することに直結する。ゆえに、いちばんわかりやすい、ビジュアルとしてのキャラクター一貫性が強く求められているのではないか。

このことは、『ぱにぽにだっしゅ!』では好評だった新房昭之が、そのままのスタイルで手がけた『ネギま?!』が原作ファンからブーイングをくらうことになったケースにも見て取れる。

今回『グレンラガン』がブーイングの対象になっているガイナックスは、本質的にはアニメーターの個性や動かす技術による部分が大きいスタジオであるので(決して、エヴァパチンコお金を稼ぐのが本質ではない、と思いたい)、今回のように作画監督原画の個性が顕著に現れることは、意外ではない。

最近では、アニメーターブームの中核を担っていたような人々が、監督クラスになって作品を作っているので、こういった遊びが復活するのも不思議ではなく、動く絵を愛するアニメファンとしては、どうか表面的なキャラ絵だけではなく、広い意味でのアニメをみる楽しさ、アニメの気持ちよさを知ってもらいたいなあと思って、このような駄文を長々と書き綴ってしまいました。

決して、俺達はお前達とちがって芸術が解る眼を持っているんだぜ!と言っているわけではないんです。ほんとに。

  • 決して、俺達はお前達とちがって芸術が解る眼を持っているんだぜ!と言っているわけではないんです。ほんとに。 むしろ言っちゃえよー。言って小馬鹿にしまくろうぜ。馬鹿には馬...

  • http://anond.hatelabo.jp/20070422234719 作画崩壊だってわめいてるバカな烏合の衆どもが金を出して見てくれる人たちなら、その人達の欲望に沿ったアニメにしなきゃならないし。 芸術を志向する...

  • 『天元突破グレンラガン』#4も、キャラクターの感情をさりげない動きで巧みに表現する小林治(『BECK』監督)の個性が全面に出ていることで、過去3話と比較するファンに拒絶され...

    • 作画が"悪い"という言葉が悪いんじゃないの? 要するに、その作画はあなたには"受け入れられない"って事でしょ。 だから"悪い"ってのは言葉の誤用だよ。

      • 作画が"悪い"という言葉が悪いんじゃないの? 要するに、その作画はあなたには"受け入れられない"って事でしょ。 いいや、1??3話と4話では顔のデザインが違っているということ...

        • >善し悪しで言ったら、12話だか24話通して同じデザインであるべき週刊テレビアニメでは、悪いだろう。 「あるべき」だって「週刊」だって。 プププー。

    • はっきりいって、海外に出して作画修正が間に合わなかったんだろ? 釣りだとおもうけれど、残念ながら、#4の絵は、“作画監督・小林治の手が十分にまわりきった”作画だよ。 しい...

      • 釣りだとおもうけれど、残念ながら、#4の絵は、“作画監督・小林治の手が十分にまわりきった”作画だよ。 あれが!?どっからみても東南アジアの安い作画にしか見えないんだが。...

      • “作画監督・小林治の手が十分にまわりきった”作画 こんな可愛くねぇヨーコを通す作画監督なんて市ね! http://image.blog.livedoor.jp/dqnplus/imgs/5/f/5f60891e.jpg

        • 3姉妹可愛かったしこの程度は許容範囲だと思うが というか戦闘中に可愛い顔して銃撃ってる方がきもいだろ あと作画崩壊ってのは某キャベツアニメとか今週のポリフォニカとか そうい...

  • http://anond.hatelabo.jp/20070422234719 んー。もっとすごく単純な話で、「絵がキレイ」で「よく動く」作画が一番評価されやすいんじゃないのかなぁ。 だから当然、絵のキレイさが無ければその...

    • http://anond.hatelabo.jp/20070423055447 >僕らは、ただ単に感じたいだけなんです。 >「あー、おいしかった」 >って。 間違ってないけど、そんな子供味覚で評価されてもな、という話。 食い...

    • 「○○産の△△は□□地方特有の××で育成されただけあって芳醇な…」 それは確かに高度な楽しみ方なのかもしれないけれど、別にそんな事が言いたいわけじゃない。僕らは、ただ...

      • http://anond.hatelabo.jp/20070423064633 軽んじてないしカレーとハンバーグレギュレーションで神の味がありうるのも踏まえた上での話だよ。 まあ萌えアニメに急にはまって「手が汚れた」なんつ...

        • http://anond.hatelabo.jp/20070423071617 消費すんのは特にどうという事もないが鑑賞は学習が必要。 こんな事書くのは言葉遊びすぎっかなー。まあいいか。 消費と鑑賞をごっちゃにしすぎ。まあ最...

          • 自分はただ消費してるだけなのに鑑賞してると勘違いってのはお寒い話。 君の事では

          • http://anond.hatelabo.jp/20070423075110 観賞する人ってのは、金落としてくれたり、面白さを相手に納得させて作品を広めたりする人じゃねーの? ただの優越感ゲームのダシにしてもしかたない気...

          • 意見自体には結構同意なんだが でもじゃあどこからが「観賞した結果の批評」で どこまでが「消費した結果の素直な感想」かっていうと それって実際問題判別可能なんだろうか? 俺は...

      • 遅レスで申し訳ないけど http://anond.hatelabo.jp/20070423064633 本音はね、動画大好きっ子も、ウンチクなんてのはどうでもいいから、「アニメーターの凄い仕事」ってやつを感じてくれよって...

  • ちなみに、「作画崩壊」というのは本来、制作工程の管理ミスなどにより「動かない」「絵がヘタ」「色がついてない」等の“未完成”状態のアニメが放映、上映されてしまうことを指...

    • ナディアの島編みたいなものなんじゃないの? http://anond.hatelabo.jp/20070423093524 オイラもそう思って書いてみた!

    • 島編の意味が「ストーリーのキモになる回にリソースを集中するために、繋ぎの回では確信犯的にクオリティを落とす」ならば、同意です。

  • アニメーターやら作画監督やらの名前も一人として知らんけど。 今回のは単純に下手だと思いました。 絵も。動きも。 http://anond.hatelabo.jp/20070422234719

  • よくわかんないけどそれは連続ドラマで突然演技重視の為に登場人物が全員演技が上手いそっくりさんに入れ替わっても それは監督のお遊びだし演技を愛するドラマ好きなら広い意味で...

  • http://anond.hatelabo.jp/20070422234719 作画じたいそれほど酷いか?って思うけど、まあ関係者のBBS・ミクシィでの迂闊な発言とかが致命傷だったんだろうな。 TVシリーズのアニメってクラス全員...

  • あまりの反響に腰をすえて色々なご意見にお答えしなければと思いつつ、議論の焦点がぼやけているためにアニメやらイラストやら消費形態やらいろんなものの系譜を頭の中で整理してい...

    • アニメはもうどうでもいいと思ってたけど、 こういう人がいるならまたおもしろく見られる機会がくるかも。

    • http://anond.hatelabo.jp/20070424161957 私が最初に赤井孝美氏の一部、2ちゃんねらーなファン層に対する毒舌を読んだとき、この世代の 下の世代に対する苛立ちを読み取ったのだが..... まあ、...

  • おれククルス・ドアンも好きだよ。ひねった観方じゃなく。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん