2021-09-30

地方競馬砂漠の薫り

地方競馬園田競馬場馬場は良。天候は曇り。枯山水をなぞるように、1051mのダートコースが広大な砂漠に見えた。

バイトに入っていない日の大学生は暇で退屈である。何せ授業はオンデマンド大学に行く必要も、時間通りに授業を受講する必要もない。大文字焼きの如く絨毯の上で燃え尽きていた午前11時過ぎの私に、一本の電話が入る。

今日競馬見に行くって言ってなかったっけ」「それは土曜日の話ではないのか」

地方競馬は平日開催なんだよ」

別に後の予定もない。何も知らないままノコノコ競馬好きの友人に連れられて、阪急園田駅に辿り着く。

競馬場へ直通する無料送迎バスは平日にも関わらず満席近かった。古臭いバスにロクデなしを詰め込んで、街中のバス停を次々に通過していく。曇空も相まって、車内からはデスゲーム香りがした。

山中に連れられることは流石になく、100円の入場料を支払いマスコットキャラがお出迎え。お土産屋さんや屋台もあるのに、どこか雰囲気が澱んでいる。休日ひらかたパーク天道ならば、園田競馬場地獄道に違いない。ホームレスの様な格好の老人達、明らかに営業をサボっているスーツ姿の男性人間修羅畜生餓鬼も超えた地獄がここにあった。

そんな地獄で、しまむらで買ったウマ娘トートバッグ肩にかけた私は、カープ女子も青ざめる位に場違い人間だった。園田競馬ダートコースを前にして、競馬馬券の買い方も知らない。

パドックを輝く眼で見る友人が羨ましかった。

競馬ファンからすれば、きっとオアシスとも呼べる競馬場。私はそこで、砂漠を見つめ立ちすくむ。

友人には悪いが、競馬に興味を持つ事は出来なさそうな予感がしてならない。

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