遺伝病とはいっても、スイッチみたいに1か0か決まるタイプのものじゃない。
普通の人だとDNAの中で10回ぐらい同じ塩基配列が繰り返されているところが、100回とか1000回とかに増えてしまって、そのせいで全身に影響が出る。
しかも、親の世代と子供の世代で繰り返しの回数が変わることが多くて(大体は子供の方が増える)、親は症状に気づかないで暮らしていたけれども子供の代で明らかに変だって発覚するケースがあるあるのようだ。俺のところもそうだった。
この遺伝病はそう有名ではないみたいで、俺も兄弟がその病気だって知る前は病名を聞いたことがなかった。
知名度向上のために人に知ってもらった方がいいんじゃないかと思うこともあるし、
家族における進行がどうなるか不安で誰かに打ち明けたくなることもあるけれど、知り合いには言いづらい。
俺の兄弟は所謂IQのグレーゾーンに近いんだが、その病気と関係している可能性は否定できない。
しかし、俺の親で、その繰り返し配列を持っている側の親は、ホワイトカラーの専門職に就いている。
もし親の職場に伝わったらと懸念してしまって、自分の知り合いには言いづらい。