2021-05-31

anond:20210531233814

「申す」の未然形「申さ」+尊敬ほかの助動詞「られる」が付いた「申される」は、現在謙譲語尊敬語の混用とされて、明確に(辞書的な意味で)誤りです。

しかし、「申す」は「言う」の丁寧語でもあった時代がありました。というか、そうであった時代の方が、謙譲語一択になった時代よりもよほど長いのです。

例えば、「平家物語」の巻一・鹿谷には「新大納言成親(なりちか)の卿もひらに申されけり」(新大納言成親卿も(欠員の左大将の職を)ひたすら(ご所望なさると)おっしゃられた)とあります

その他にも用例は多々あり、つまり中古中世近世を通じて、「申さる」は「アリ」な使い方だったのです。

近代になって、明治期の標準語政策が始まると、「日本語の統括的な文法」というもの必要になってきました。ここで初めて敬語には三つのカテゴリ(言うまでもなく尊敬・謙譲・丁寧ですね)があると定められ、「申す」は謙譲語であるとされたのです。

ことここに至って「申される」は規範文法的には誤りだということになり、戦後教育では教科書にも明記されるようになり、現代に至ります

ですから現在でも60代以上の方には、この言い方に違和感のない方も多いのです。数年前の「国語世論調査」で、「『申される』という“誤った”敬語を使っている人は高齢者層に多い」というリポートがありましたが

それはそうで、彼らの感覚にしてみればアトヅケで「間違ってる」と定められた使い方なのですね。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1496376054

だって

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  • とある本のAmazonレビューで 「作者の方が(本を書いた経緯)と申されますので、興味が湧いて購入しました」みたいな一文があった 「申されますので」というのは、申す(謙譲語)+れ...

    • 「申す」の未然形「申さ」+尊敬ほかの助動詞「られる」が付いた「申される」は、現在は謙譲語と尊敬語の混用とされて、明確に(辞書的な意味で)誤りです。 しかし、「申す」は「...

      • ありがとう 平家物語のその部分のことは知らないんだけど、「新大納言成親(なりちか)の卿もひらに申されけり」の「申されけり」は ・新大納言より地位の高い人に新大納言が何かを...

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