2016年は、邦画の当たり年だったといわれている(多分)。ミーハーな私も、話題になった『シン・ゴジラ』、『君の名は』、『この世界の片隅に』の3作は劇場に足を運び、どれも非常に楽しませて貰った。
この中で、どれがお気に入りかは、その人の年齢や興味、価値観などによって分かれるだろうが、私のお気に入りは、『この世界の片隅に』である。
物語の出来の良さは、どれも素晴らしいと思うが、『この世界の片隅に』のユニークな所は、タイトル通り『この世界の片隅』を描いた事である。従来映画では、世界の中心を描いてきた。
例えば、『君の名は』では、彗星落下という一大イベントに対して、主人公が町とヒロインを守る。主人公は、その世界において中心的な役割を演じ、大イベントに対して、積極的に行動し、大きな成果を生む。
かたや、『この世界の片隅に』では、戦争という一大イベントに対して、主人公は、日常を奪われ、大事な人やものを奪われ、終いには自分のあずかり知らぬ所で勝手に終わる。それに憤りはせよ、結局のところ戦争に対して、ほとんど無力なのである。
私たちは、そういった一大イベントに出くわした時、一体どちらになるだろうか。