■専業主婦がキツい

いっとき、嫁さんが仕事を辞めて専業主婦をしていた期間があったんだが、とても辛かった思い出がある。

共働きの頃は、お互い職種は違うとはいえ、そこは仕事をしている者同士、共通の悩みや愚痴、笑い話などを言い合ったりアドバイスをしたりしていた。

もちろん、仕事の話ばかりしていたわけではなく、趣味の話や共通の友人の話などもしていたが、会社では言いづらいことを吐き出せて、きちんと聞いてくれる相手がいる場所として家庭が機能していたように思う。

家事もお互いに分担して楽しく暮らしていた。

ところが、嫁さんが会社を辞めると、徐々に会話の中心は仕事から離れていった。

嫁さんは、近所の○○さんがどうしたとか、家に飾る花を変えてみたとか、そういう話を主にするようになった。

しかも、昼間家にひとりでいるものだから、きちんと話を聞いてくれる相手に飢えているらしく（女性同士だと自分のことをしゃべるばかりで人の話を聞かないらしい）、帰宅するなり一方的に話してくるようになった。

ふんふんと嫁さんの話を聞いてみるものの、自分にとって全く興味の湧く話ではないものだから、気持ちが入っていけない。それでも何とか気持ちを奮い立たせて話を聞く。興味をもったフリをして聞く。これがなかなかに辛い。なにせ本心では興味を持てないのだから。

奥歯にものがはさまったような感覚がずっと続いている、そんな気分だった。

一方で、こちらが仕事の話をしてみると、一応聞いてはくれるものの、興味を持つ様子はなかった。話も弾まず、すぐに終わってしまう。

なんだかお互いが別の世界を見て生きているようだった。いや、生きているようだったというより、実際、別々の方向を向いて生きていたのだと思う。

約半年後、「やっぱり人の稼いだお金で生活するのは性に合わん」と、嫁さんは専業主婦生活に終わりを告げ、待望の共働き生活が戻ってきた。

お互い、再び仕事の話ができるようになり、奥歯にものがはさまったような感覚はなくなっていった。

やっぱり、自分にはこういう生活が合っているなあと心から思う。

と同時に疑問が湧く。専業主婦がいる家庭は少なくないと思うが、みんな、お互いが別の世界を見ているような感覚、奥歯にものがはさまったような感覚に耐えながら生活しているのだろうか？

Permalink | 記事への反応(8) | 14:49

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