一週間ほど前だろうか。
セックスをした。
1回目はたしか、別れて1ヶ月程度過ぎた頃だった。
なんとなく出会い、なんとなく食事を共にし、なんとなくその女の子の家でセックスをした。
その時の僕は彼女の裸体や声、そしてかつては確かに存在していたどうしようもない愛おしさを思い出してばかりだった。
二度と。もう二度とちゃんとしたセックスをすることができないんじゃないかと思うくらい。
2回目のセックスの際にも、彼女のことを思い出してばかりだった。
ところがだ。
ここ最近のセックスでは彼女を思い出していなかったことに今ふと気づいた。
この言い方は些か正確ではなく、行為の後には思い出していたのだがその最中には目の前の女性から視線も思考も逸らさなかった。
嬉しくもある。
しかし、自分という人間の多くを占めていた彼女という存在が確実に消え去っているという事実が悲しくもある。
今もまだ未練は消えず、愛しているという気持ちが日毎に増している感覚すらあるのに、僕の心の真ん中は彼女の匂いがきっともうしない。
恋をしよう。
僕が誰かをまた愛し始められないのは、お金や時間がないからじゃない。
僕の人生そのものだった彼女が消え失せてしまうことへの恐怖だ。
あり得ない話ではあるが、呼び出されたらちぎれるくらい尻尾を振って向かってしまう。
なのに、この気持はただの残骸なのだろうか。
もっと簡単に書こう。 僕は彼女を"忘れられない"んじゃない。"忘れたくない"んだ。 忘れようともしてないくせに忘れられるわけがない。 もちろん摩耗はしているけれども、手の中に包...