2009-12-06

"ゲームプログラマ恋愛工学と金儲け"について考える

blogを読むときに必要なのは"どうしてだろう?"って考えること。blogを読んで何か納得するのは正しい読み方じゃない。

当該ブログは、部分的に正しいし、部分的に間違っている。特に昔話とコンピュータアーキテクチャの類には多くの異常な主張があるので(意図的かも知れない)、それを探して検証してみるのはとても勉強になると思う。

現場に関する話は、うーん、それほど悲観しないで欲しい。

ただここを読んだ若い人があまりアポロン的になってもいけないので一応警鐘。偉大な先人の多くはゲームを作るために生まれてきた訳じゃないことにもっと関心を持って欲しい。人間を形作るのはゲームづくりだけ?違うよね。

メモリバンクを導入させたのは誰?

http://blog.livedoor.jp/woopy_doo-game/archives/50938887.html

アドレスレジスタが16bitしか無い様なハードウェアしか存在していませんでしたから(ファミコンPCエンジン、みんなそうです。メガドラは違いますが)、増加するリソースへの対応が必須でありました。あのアーキテクチャは当時も我々プログラマ提言したのです。

...

呑み会に行ってもハード屋とプログラマ喧嘩ばかりでしたが、バンクアーキテクチャは我々が勝ち取ったものです。事実上無限メモリ空間を手に入れましたからね。

メモリバンクゲーム機固有の仕組みじゃない。というわけで、ゲームプログラマが提案したのは多分ゲームシステムメモリバンク(バンクメモリ? Bank switching?)を導入させたこと、と、読むことにする。

でも、ファミコンを含めた初期のゲーム機、それこそAtari2600でもメモリバンクは実現されていた。これはアーキテクチャがそのように作られていたからではなく、小規模のハードウェア追加でこの仕組みは実現できるからだ。ハードウェアカートリッジ側に内蔵されていた。ファミコン音楽に詳しい人ならVRCとかFME、いわゆるマッパーといったチップが内蔵されていたことを知っているだろう。

これらのハードウェアの追加をプログラマ提言したというのは言い過ぎと言える。技術自体は既にあり、採用するのは非常に自然な流れだった。ハードウェア技術者であっても反対しないだろう。32bitの(アドレスバスを持つ)CPUを導入するのに比べれば、メモリバンクのためのハードウェアはずっと容易に採用できる。

stramとコピー
  • http://blog.livedoor.jp/woopy_doo-game/archives/50958678.html

今やPCゲーム会社であるにも関わらず、コピー侵害とは無縁の会社と言って良いであろう。

直接的なコピーは彼らにも防げていない。彼らが売っているのはマルチプレイ用のアカウントと考える方がすっきりする。MMORPGと同様に、コピーできないゲーム体験を売るという点では一定の成功を収めている。

何もブラックボックスがないDRMは機能しない。Steamでいえばブラックボックスゲームサーバであり、PS3とかXbox360で言えばハードウェアそのものがブラックボックスになっている。

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