新しいことを知ると当然、ポジティブな感情とネガティブな感情が生まれるわけだ。
ネガティブなことっていうのはたとえば「今この時間も世界のどこかで戦争によって誰かが命を落としている」みたいな事実だ。ただ、そういう事実に目を向けることはできたということはポジティブだといえる。つまり、教養を身につけるっていうのは必ずポジティブな結果が得られるといってもいい。
小学生同士のゲームで勝てば喜ぶし、負けたら「負けるが勝ちだから俺の勝ちだ」と屁理屈を捏ねるような少しズルに見える。
当然、こんなのには罠がある。事実に目を向けることができた、というポジティブな感情は自分の無力さを自覚するにつれて薄れていくのにたいして現実は一切変わらないしネガティブな感情も消えない。そういうわけで遅効性の毒のようにじわじわと教養は人を絶望に追いやっていくのではないかと思っている。