農業一筋で生きてきた、ちょっと頑固なおじいちゃんが介護の施設に入った。入ってしまった。
健康だけが取り柄で病院にはほとんど行ったことがない。擦り傷なんかも謎の治療法で治してしまうような人だった。おばあちゃんが亡くなってからも一人で広い家に住み続けてきた。
春には庭でタケノコが獲れる。夏の日の縁側でスイカやアイスを食べた。冬の日のコタツでミカンを食べてお年玉をもらった。とにかく孫の私たちは可愛がられた記憶しかないし、親もそれ以上に愛情が注がれてきたんだと思う。
主人不在の家でお盆の準備をする。昔と同じように縁側でアイスを食べてもなんだか寂しい。
こんな広い家を一人で守り続けてきたおじいちゃんは偉大だったな……。思い出が詰まったこの家の記憶を忘れないように生きていきたい。
無人にするくらいならおじいちゃんの家に引っ越せばいいのに