何年かぶりの自宅のはずなのに、出てくるその一言。
私は失笑がこらえられず、怪訝な顔をされながら乾杯のグラスをぶつける。
「何はともあれ、おかえりなさい」と言ってごまかす。
しかし、そんな言葉を口にしただけなのに、グラスの屈折した光がやけに眩しく見える。
そう、何年かぶりなのだ。
私も相当疲れてきていて、久しぶりに会えるというそのことだけで、飽和感というか、頭がいっぱいになってしまった。
だから、いつのまにか習慣付いてしまった晩酌用のビンビール以外、あなたのためになるものが何も買えていない。
そういうわけで、あなたの意図は何であれ、単に外食に慣れた生活のなれの果てであれ、その言葉は今回、適切だったのだ。
そう思うと、これまでの時間に涙を感じる気分はおさまり、あぁこういう感じが良いんだなと思う。
そう感じながら冷蔵庫の残りものを探し、雑談を始める。昨日はそんな連休の始まり方だった。
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