齢30目前にして麻薬のような夏休みを経験してしまうと、そのときの思い出に浸ってしまい現実に帰れなくなってしまうのだった。
ただ、何人かの友達と海へ行き、アイスを食べて水族館へ行き、バーベキューをして、花火をしただけの二日間。
文字にするととてつもなく陳腐に思えるが、最高の二日間だった。
全員集まる前にコロナの検査を行ったから、ある程度安心して過ごすことができた。
コロナ禍の鬱憤を吹き飛ばすかのように大声で笑い、はしゃぎ、走り回った二日間だった。
そんな強烈な体験は、退屈な日常に慣れたアラサーにとって免疫がないに等しい。
数日経った今でもあの時間に焦がれてしまい、写真や動画を見返してしまう。
何回も頭の中で思い出を反芻してしまう。
まるでそれは麻薬のようであった。