俺は多分人より裕福な家庭に生まれたし、周りも人より裕福な人間が多かったと思う。
周りの人間も俺以外は穏やかで知的でそれでいて無邪気で面白かった。俺はその中でただ一人幼稚でバカでいつも距離を置かれていた。
両親に似ず、まともなコミュニケーションも身につけられない俺は20年生きたあとに親に泣きついて三流大に潜り込み地方の中小企業に就職。そこでも空回りして上司には腫れ物扱いされる。
どこにいってもドベなんだろう。高校生の頃からそう思ってきた。
たとえドベでも今の仕事は好き。というより俺には仕事しかない。結婚しようが子供が生まれようが、自分の価値を認めるのは自分と仕事しかないと心から思う。
思い出すと父親もそうだった。彼は家で仕事の話をしなかったが、自分の軸が家庭にあったことは一度もなかったように思える。
思わぬところで親と似ていることを発見して嬉しくなった。
女関係なし