週末なのでメッロォォォォォンとした焼肉が食べたいと思って街に出たものの、どこも営業自粛で閉まっていた。
イオンで弁当か惣菜でも買って帰るかと思って車を走らせていると、国道沿いにオメガラーメンの店舗があって灯りがついていたので、方向転換して車を乗り入れた。
引き戸を開けるとすぐに中華料理屋にありがちな赤いカウンターがあり、上には古新聞が乗っていた。他に客は一人いて、箸を持つ手を止めて何かを見ている。カウンターの奥の壁に架かったテレビでは、80年代の岡村靖幸らしき過剰な演出のライブがやっていた。
「えいらっしゃい、何にしますか」と長いコック帽を被った店主が水を置くが、メニューはオメガラーメンしかないことは本人が一番よく知っているはずだ。
オメガラーメンください、と注文すると、「えいオメガ一丁」と店主が振り向き声をかけるが、その先には誰もいない。カウンターの隅に置いてあったきまぐれオレンジロードを読んでいると、黒い汁の入った丼が目の前に置かれた。「遊び心に呪文振りかけますか」と店主に聞かれたので、はいと答えると、コショウの瓶を置いていった。瓶にはセロテープで「呪文」というラベルが貼り付けてある。
汁をすすると、よくあるオメガ系の、コーラが効いた甘辛い味だった。コーラ煮の豚肉はとろけるほど柔らかくなっており、満足感があった。
また機会があれば寄ろうと思う。