いつもの春であれば、もっと焦燥感に駆られていた。満開になった桜は春の雨に打たれどんどん散っていく、振り落とされて葉っぱが見え出していく、私は何も変わっていない。
新生活をはじめるきらきらした自分より若い人たち。出会いとか、別れとか。毎日さほど代わり映えない生活をしてるわたしはどうも、この季節になると世界の人たちから置いていかれて追いつけなくて自分も新しい何かをはじめなきゃって焦る。
毎日泥のように眠り今日生きていくことで精一杯だというのに。
今年の春は一味違う。
皆が立ち止まり、蕾から花へ、散っていく桜を見ながらそのまわりをぐるぐるしているだけだ。世界が逆回転して、エネルギーはどこにも飛ばせず身体の中でくすぶっている。
恋人もいなくてよかった、濃厚接触は危ないからね。
恋人を探せとも言われないんだ。探しに行くのは危ないからね。
おかしくなったりはしない、いつもこうだから。
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