初めてMacを買ったのは、大学に入学するとき。正確には買ってもらった、だが。
もう12年も前のことになる。
これからの未来に夢を膨らませていた俺は、WindowsよりもMacを選んだ。
周囲に大学生協おすすめモデルとかいうクソPCがはびこる中、俺のMacは一際輝いていた。
周りとは違うものを手にすることで、周りとは違う何かになれると思っていた。
バイト代の約2ヶ月分を使い、最新モデルのMacBookProを買った。
普通の企業に内定も決まっていたが、それでもまだ、何者かになれると思っていた。
そして昨日、PCを買い替えた。
MacBookAirを買おうと思っていたが、どうにも買う決断ができなかった。
俺は、もう、何者かになれるとは思わなくなっていた。
「周りと違うもの」という判断基準が、最上位ではなくなっていた。
「Microsoft Officeが入っているWindows PC」
これが俺のオーダーだった。