「一生のおねがいだから」
僕は彼に雑用を頼むとき、いつもこう言っていた。
いつも些細なことばかり。
会議室取ってくれとか、
〇〇さんにこれ渡してとか、
あの締切いつだっけとか。
彼は少しも嫌がらず、苦笑いしながら僕の「一生のおねがい」を聞いてくれた。
二人でお菓子を食べて、5分くらい世間話して、僕はありがとうと言って、自分のデスクに戻って行く。
彼は職場で唯一の同期だった。雑談相手になってくれるのも彼くらいだ。
今日会社で
訃報というメールが流れてきた。
もう彼には会えないそうだ。
アタマが働かない。
なんでみんないつも通りなんだ。
みんな全然この話題に触れない。
みんな強がって動揺を隠してるのか。
今日は全然仕事が手につかないから早退。
最後に頼んだお願いなんだったかな
どうせくだらないことだったんだろうな
そんなのどうでもいいから
一生のおねがいだから
また雑談してくれよ
そっちの一生のおねがい
まだ聞いてないぞ
もうダメだ
今日のビールまずい
Permalink | 記事への反応(2) | 01:22
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読みました。
いっぱい泣いていいよ。好きなことをして、悲しい気持ちを甘やかしてあげてください。 つらいね。