放火事件などの科学捜査に詳しく、元・警視庁科学捜査官で医学博士の服藤恵三さんは、「1階の窓が壊れて飛散していることから、1階部分で爆燃現象、爆発現象が起きたと思われる。2階と3階は外壁が焼け落ちたような状況がみられるため、非常に温度の高い状況が、それも短時間で発生したと推定される。これらの状況からガソリンのような液体がまかれて着火し、急速な火災が起こったと思われる」と分析しています。
さらに「通常の火災は室内の温度が1000度以上は上がらないが、ガソリンは場合によって1500度まで上昇する。これは鉄が溶けるような熱さで火炎を浴びただけで息ができなくなる。爆発現象が起きた1階では、状況が分からないまま人々が火炎に包まれ、2階と3階にいた人たちは爆発音は聞いていると思うが、何がなんだかわからないまま炎と煙に襲われて、逃げ場を失ったと思われる」と現場の状況を推定していました。
そして「ガソリンは着火と同時に火炎が数メートル上がるなど、通常とは比較にならないスピードで炎が広がるので、おそらく火災報知器が鳴る時間も、防火扉が作動する時間もないぐらい勢いよく燃え広がったと思われる。火が出てからでは逃げるのは困難で、建物内の入退室の管理や荷物のチェックなどのセキュリティー強化が必要だ」と指摘しています。