2018-11-01

人間をひとり壊した

色恋沙汰に人生の先行きを見出すような年齢ではなかったから軽い気持ち恋人になった。

それまでの相手と同じように、長続きすれば上々しなくてもまあいわゆる青春の一ページというやつだった。


どうやら見当は外れていたらしい。

人生の主軸に据えられてしまった。精神的支柱を求められた。命綱であれと呪いをかけられた。


自分すらまともに支えられるかわからないのに他の人間の重みまで責任はとれないと思った。

あと、昔「仮にある状態になった場合関係を解消してほしい」と言われた、その状態にもなった。

約束は守らねば誠実ではない。

手続きを踏んで関係を解消した。


関係晩年はもはや同情しかなかった。


それから目に見えて壊れてしまった。

目の前で壊れ続ける人間を見て、ただ痛ましいと思う。


救えるのは自分しかいない。

身を裂かれる苦しみにもがいている人間を救い出したいと、痛みから遠ざけたいと、関係する人間の一人として思う。


しかし、自分が手を差し伸べたところで、その手で引き上げたとして、望み通りにはしてやれない。

自分しか救えないのに、唯一のその方法自分はとることができない。


目の前で人間が壊れていくのを、ただ見届けるしかできない。


自分があの時、荷が重すぎる要求を全て飲み込んで、壊れておけばよかったのだろうか。


人間をひとりこの手でころしてしまった。

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