──カチッ、カチカチ
「えっー、どうして」
自室にあるハロゲンヒーターの電源を何度も入れても、ランプがオレンジ色になることはなかった。
コンセントはちゃんと差してあるし、見た感じ損傷しているところはどこにもなく、寿命にはまだ早すぎる。
「問題は中か」
そうは言っても素人なので、どうすることも出来ず「うーん」と唸っているとノック音が部屋に響いた。
「はーい」
「お父さんだが、いまいいか」
「うん」
返事をしながらドアを開けると、父が私宛てに届いた手紙を持って来てくれたようだった。
手紙を受け取り、礼を告げると父は不思議そうな顔をしながら口を開いた。
「なんか部屋、寒くないか」
「あー、うん。ハロゲンが壊れちゃったみたいで」
事情を説明すると父は、「少し待ってろ」と言いハロゲンを持って自分の部屋へと入っていった。
それから、父の部屋の前で十分ほど待っているとドアが開いた。
「こんなとこで待っていたのか。風邪引くぞ。早く入りなさい」
急かされるように父の部屋に入ると、先程までその役目を果たしていなかったハロゲンヒーターがランプをオレンジ色に光らせ部屋を暖めていた。
「直ったの?!」
「ああ、もう大丈夫だぞ」
「えぇ~~、すごい!」
この短時間でハロゲンを直した父に驚きを隠せず、落ちてしまうんじゃないかというくらい目を見開いた。
「大したことじゃないさ」
ただ純粋にそう思った。
驚き過ぎて、「どうしてわかったの」という言葉が喉から出てこい。
「…どうしてわかったの」
やっと出てきた私の言葉さえ、父にはわかっていたようであった。
「そりゃぁ、お父さんだからな」
コンセント警察です