2017-12-11

入れ替え制導入前、「流し込み」時代映画館

(流し込みとは、“一度入場すれば、途中退出しない限り、最終回の上映終了まで、何度でも鑑賞可能”という今じゃ考えられない制度のこと)

30数年前母に連れられて映画館に行った。俺にとってそれが初めての映画だった。時間など調べる人ではないものから、到着は上映から30分は過ぎていただろうか。上映途中にも臆せずずんずん入る母。親の言うことは絶対だったから続いて席につく俺。見たいと言ったわけでもない映画を、ストーリーもわからぬままぼーっと見る俺。映画はよくわからないまま終わる。当然のように母はその席についたまま次の回の上映を待つ。そういうものかと思うほかない。俺は映画をはじめから見ることになる。なんとなく話に入れてきたかなというころ、入場時に流れていた場面まで進んだあたりで、「もうここからは見たんだから帰るよ」と母。そして本当に連れ出された。大人とはなんということをするのかと思った。

初めて見たこ映画の内容はまるで覚えていない。ただ、どのような状況で見たのかははっきりと覚えている。

(19:07追記)これを書いて少し吹っ切れたこともあって母に電話した。30数年前のこの出来事を母も覚えていて、「昔は途中で抜ける人も多かったのよ、あのときはごめんね」と。積年のもやもやした気持ち昇華できたように思う。母が生きている間に話せて本当に良かった。

anond:20171211044618

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