2017-09-23

心の中のもう一人の自分がいなくなっていた

幼少の頃、よく母に怒られた。

仕事ギャンブル毎日明け暮れる父に代わり、母は自分に対して最低限のマナーを教え込むため、しつけがしかった。今でもその頃の記憶を手繰ると機嫌の悪かった母がいた思い出しか出てこないくらいだ。お陰で今助かっている所も勿論あるとは思う。でも今、それは置いておいて。

子どもの頃、母に怒られたり、母の機嫌が悪くなると、決まって自分の心の中に「もう一人の自分」が現れた。

泣きながら、母の言うことを聞いて反省する自分

でも、心の中にいるのは、テーブルの前に座り、頬杖を付きながら母の言うことに真顔で反抗するひどく冷静な自分

小学生くらいまでは、母に責められる度にこの小さいもう一人の自分が心の中で反抗を繰り広げていた。

だが、いつからだろうか。この反抗する自分が心の中にいなくなったのだ。

成長するにつれ、母が過度に腹を立てることも、自分が母を怒り心頭にさせることも無くなっていた。波風立てず、相手を怒らせることなく反抗なんてもっての他になっている自分がいた。

ただ、ごくたまに母が腹を立てた時に、私の心の中にはもういなかったのだ。あの時いた、もう一人の自分が。

今も昔も、自分は母に、反抗なんてしなかった。ただ、確かにあの時、心に棲んでいる反抗をする冷静な自分叫びを上げていた。

今、もう一人の自分はどこへ行ってしまったんだろう。

この頃、自分を責めることばかりをしている。毎日毎日漠然とした不安に怯え、その度に「こんな自分がこの事態を呼んだ、悪いのは全部自分だ」と考え、ずっと頭の中を彷徨っている。

もし今、冷静に反抗の叫びを上げる自分がいたらどうだったのだろうかと、ふと気付く。

いつからだめになってしまったのだろう。

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