暗くて静かでロックな娘を読んだ。ろくでもない奴らがろくでもない目にあう、ろくでもない短編集だった。
登場人物が対外屑なのが面白かった。あらすじには底辺を這う人々の、救いのない日常を描くって書いてあるけれど、底辺というかなんというか、ものすごいものを見た、という読書感が正しい気がする。
独特の言葉回しと描かれる人物の毒気の強さから、短編集なのに二三篇読んだだけでお腹いっぱいになってしまったのもの興味深い。とにもかくにもえぐい小説だなって思った。
とはいえ内容としてはどれもこれもほんのりとした寂寥感が残る作品ばかりだったように思う。どぎつい煮出しコーヒーを胸焼けするまで飲まされたのに爽やかな芳香が鼻孔を抜けていくような変な感じ。
まあそんな内容ばかりじゃなくて、後半に向かえば向かうほど酷な内容が増えていくんだけれど。おばけの子は本作の中でとびきりきつい一編になっていたと思う。
それぞれの短編に悲しみやユーモアなど違った後味があるので、一編一編入り口は似たようなんだけど読書感がまったく違っているのが面白かった。