でも筋肉は意外にある。でなきゃあんなキャットウォークな歩き方できるわけない。
本箱の上にジャンプして、たいして音も立てずに着地できるわけない。
時々失敗して僕をびっくりさせるけど。
猫はふわふわしている。見た目も手触りも。いつまでも触っていられそうな気がする。
でもたいてい10分ももたない。なぜなら猫はこっちの「触っていたい」という気持ちなんかおかまいなくすっと立ち去るから。
その空気読まなさ、すがすがしい。
こいつは何かすごいことを考えているに違いない……と思わせる。
もしかしたらたいしたことは考えていないかもしれないんだけど、
それはそれで、すごいことを考えてそうに見せることができるのがすごい。
猫はおもしろい。さっきまで賢そうな顔をして窓の外を見ていたのに、急にそわそわし出して次の瞬間ゲロはいたりする。
これは人間だったらモテまくるな…と思っていたら、いきなり腹を出して無言で「なでろ」圧力をかけてくる。
僕は猫に毎日負ける。