90歳。大往生だろう。
今年の正月は挨拶をしていなかったから、1年ぶりに姿を見たのかもしれない。
久しぶりに見た祖母は魂のない、心臓の止まった冷たい肉塊であった。
我々家族がうまくいかなくなった一因は確実に祖母であったし、同じように亡くなった祖父であり、もちろん我々家族全員にあったとは思っているが、
亡くなる前の数ヶ月は介護している父とも大げんかしていたらしい。
それでも、報われなかったようである。
大げんかをするだけのエネルギーを持った人間はあまりにもぽっくりと逝ってしまったのだ。
一生懸命やっても報われない様はしっかりと私が引き継いでしまったようで、なんとも遣りきれない。
思えば両親は我々兄弟を育て、さらにその後、祖父母の介護に当たっていたのだから40年間自分以外の人間の面倒を見てきたことになる。
順当にいけば間違いなく、次は彼らの番である。
果たして私は彼らがやっていたことを彼らにしてあげることはできるのだろうか。
すぐにまたこういった類の思いは風化してしまうのかもしれないが、
少しでも孝行してやらねばならないのだと感じ、ここに記す。