「勘当だ!お前なんかもう知らん!二度と家に入れると思うな!」
というやりとりから3年後、息子から母のもとに一台のスマートフォンが届いた。手紙には「夢を叶えて自分のゲームを出したよ」とある。親父には黙っておこうと戸棚に仕舞いこんでいる所を運悪く見つかってしまった。
「なんだ…こんなもん!」とゴミ箱に投げようとする親父に、母は言う。
「こんなもんとは何ですか!中身も見ずに捨てるだなんて。これは私宛に届いたものです、勝手に捨てることは許しません。」
口答えなどしたことのない古風な女である。あまりの事に親父は驚き、「もういい!」と言って家を出るのがやっとであった。
それから3ヶ月後。
「スマホ買ってきた。お前もやれ」といって親父は母に一台のスマートフォンを差し出す。
定年後の老夫婦が並んでやっているのはもちろん息子の作ったソーシャルゲーム。退職金を注ぎ込んだ廃課金プレイのためもあってか、息子の会社はなかなか順調のようである。