2016-03-25

祖父母に

両親は共働きのため、私は幼少期を祖父母と長く過ごした。

春になれば山菜を採り

夏になれば蝉を追いかけ

秋になれば一面に咲く彼岸花を見て

冬になれば大きな雪だるまを作った。

祖父からは沢山のことを教わった。

友達よりも早く字が書けるようになったし、

ボタン付けも、犬のしつけも、

いろいろなことが1人でできるようになった。

アケビの実が驚くほど甘いことだって私は知っている。

祖父が末期のがんでこの世を去った時、私は小学校低学年。

病院に行けば病気は全部治るものだと思っていた。

お見舞いの時間は退屈で、暇だ暇だと言った。

そんな私を見て、

祖父がにこっと笑ったのを覚えている。

祖母間質性肺炎でこの世を去った時、私は中学生

学校人間関係で悩み、また反抗期の真っ最中だった。

「ご飯はいらない」と言って部屋に閉じこもる祖母

「ご飯食べないと、病気良くならないから!」

と語気を強めた。

あの時、お見舞いが暇だなんて言わなければ。

持って行った鶴がきちんと千羽だったなら。

祖母の大好きなイチジクを持って行っていれば。

もっと柔らかい言葉をかけられていれば。

貰ったあれほど大きな愛情

私は返すことができなかった。

それどころか。

祖父母に会いたい。

会ってありがとうと言えたらいいのに。

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