自分は人と話すのが嫌いな方ではないと思う。それでも、なんだか最近は人と話すのが面倒くさくなってきてしまったような気もする。自分の中に相手と共通の話題がなければ楽しい会話が成り立たないのはわかっている。生産的な話も、そうでない話も、楽しいものだということも理解している。
それでも、目に前にいる相手と、コーヒーを片手にたばこをふかしながら、ただただ沈黙を楽しみたいと思うことが増えてきた。
沈黙を共有するのは難しい。つまらない話を聞いているよりもはるかに難しいと感じる。自らなにも話さないというのは相応の覚悟が必要だ。この沈黙に対して、相手は退屈に思っているのではないか。自分と一緒の時間を過ごすのは苦痛なのではないか。黙っていると、そんな思考が頭のなかをめぐる。
それでも、相手とふたり、ただ流れる時を感じるだけの時間が欲しいと思う。そのことを理解して、共に黙っていてくれる相手というのは、人生の中でも出会うことはなかなかに難しいだろう。