ここ5年くらい、会社勤めをしながらイラストかいたり、漫画を描いたりしていた。昨年ついに収入が同じになったので、思い切って先月で退職してイラストレーターとして起業した。起業なんかな? これからよろしくお願いいたします。
で、その際に意外だった話を。「会社辞めるわ」と言ったときに、母親が思いのほか抵抗したんだ。「勤め上げることに値打ちがある」「絵描きなんて安定していない」「せっかく入ったんだから」「会社に恩返ししないといけない」「絵なんて働きながらでもできる」などなどのお言葉をいただいた。とりわけ「値打ち」ってことばに違和感を感じた。勤め上げる? 定年までいることなんだろう。それに値打ちがあるとのこと。
値打ちって何だろう。うちの両親はなにかというと「値打ちがない」とか言う人だった。そういう世代だと判ってはいるつもりだったが、どうにもこの値打ちという言葉に引っ掛かりを感じずにはいられなかった。会社勤めのみが素晴らしいとは思わないけれど、やっぱりその安定した、不安のない生活というのは、自分を殺してでも手に入れる価値があるものなんだろうか。イラストレーターには値打ちがないのだろうか。