2014-07-01

「さっこおかーさん」

「もー、いつまでもその呼び方辞めてよ」

 トピシュとさっこは中学時代からの友人で、結婚してからも仲良くしていた。

だって、さっこおかーさんは、さっこおかーさんなんだもん」

 さっこおかーさん、というのは、さっこの学生時代あだ名だ。

 みんなの世話焼きお母さん、という意味合いも強いが、トピシュは自分とさっことの関係性をよく示していると思い、気に入っていた。

 トピシュはさっこのことが好きだった。

「トピシュちゃんは、いつまでも子供っぽいね

「そんなことないやい! 私だって子供いるんだかんね!」

 トピシュはさっこのことが好きだった、本当は。

 けれど、その恋に始まりも終わりもないこともよく知っていた。

「そういうところが子供なんだよ」

 おっとりとしていて、いつまでも自分母親のように優しいさっこのことが、トピシュは本当に好きだった。

 だからこそ、トピシュはさっこのことを「おかーさん」と呼び続けていた。

 そう呼ばないと、何かがダメになってしまうような、そんなことを考えていた。

「さっこおかーさんも、お母さんだもんねえ」

「そうだよ、トピシュちゃんと同じだよ」

「同じか。。。。。。 同じなのかな?」

「同じだよ」

「本当に?」

「うん、さっこおかーさんが嘘ついたことあった」

「ない」

「でしょ?」

「うん」

 トピシュは悲しかった。

 同じじゃないとわかっていたから。

 それでも、トピシュはさっこと一緒にいたかった。

「いこ、さっこおかーさん!」

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん