放浪息子は途中から単行本で話を追うだけになっていたし、青い花は何巻か飛ばして最終話を読んだ。けれど漫画を読んだ瞬間に一巻からの思い出が、絵が、雰囲気がありありと思い出されてくる。
青い花は最後のあの一言で、連載を追っていなかった自分でも目頭が熱くなった。あの言葉はまだ青い花だったころの「あーちゃんとふみちゃん」、ひいてはそれをみていた私たちの感情を思いださせてくれた。
志村貴子さんの作品はいつもそうなのだ。私たちが忘れていたもの、目をつむって見ないようにしているもの、忘れたふりをしているものを揺さぶってくる。
放浪息子はそんな、人間の深い部分に触れているから、いまだに最終巻を読み返せていない(普段は漫画を同じ日に二度読み返すのだが)。
放浪息子のラストについては衝撃的すぎて(表紙をみたときもすごく驚いた)何も書けない。まだ書ける状態にない。
「ぼくたちのきせき」